担当講義

保存科学演習 I, III

保存科学研究室全員で、学生の研究の進捗報告を行い、資料の捉え方から、データの取扱方、研究の方向性など、内容を精査すると共に、プレゼンテーション技能の向上をはかる。あるいは英語論文の紹介を行う。

保存科学演習 II, IV

修士1年生向けの授業。学生のバックグラウンドに合わせた内容で行うが、基本的には学生が主体で進めるものである。教科書の内容に沿って、学生がプレゼンテーションを行う年もある。

文化財測定学

文化財資料の理化学的分析法について、分析の目的、原理、応用例について幅広く講義する。応用例では事前調査や保存処理方法の評価についてもふれる。外部の保存科学者による講義も適宜組み入れる。文化財を保存していく上でどの様な役割を科学が担うかについても論じる。

以下のテーマに沿って行う。 保存科学の歴史、 文化財資料の理化学的測定法の目的、 非破壊分析法、微小資料分析法、 産地確定、年代確定、 酸性雨問題とその対策、 紙の製造法と保存法、 保存システムの構築、 データの解析と評価、 文献検索法と研究報文の書き方

材料学実験

美術工芸品に使われる材料は多岐にわたっている。したがって、本講義では、材料の物質としての化学的性質、物理的性質や物質の化学的変化等を無機物と有機物の化学・物理実験を通じて観察することにより、材料科学の理解に欠くことのできない基礎的な知識を確実なものにし、多種多様な材料の性質の理解に関しても科学的態度をもって対処できる能力を養成する。

授業計画は以下のものである。実験の基礎知識、美術工芸品に用いられる有機物の基礎的実験、美術工芸品に用いられる無機物の基礎的実験、データの解析

機器分析実験

文化財試料の機器分析実験であり、実際に操作法あるいは測定データの解析を実習する。

・光学顕微鏡・SEM+EDX・XRD(広角、微小部、薄膜)・電気分析・UV-可視分光・FT-IR・蛍光分光・ラマン分光・クロマトグラフィー

機器分析法

文化財に用いられている材料や劣化生成物を明らかにするための機器分析法について講義する。当教室が所有する種々の分析機器を中心に、その原理、解析法ならびに文化財試料への適用法を講義する。

以下の機器について講義を行う。・光学顕微鏡・SEM+EDX・XRD・XRF・分光学的手法(IR、UV、可視、発光分光、ラマン)・分離分析法(ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー)・物理分析法の原理

美術工芸材料学

美術工芸に用いられる材料を制作の立場・保存する立場より講義する。

前期:美術工芸品を観察しながら以下のテーマで講義する。幅広い視点から材料が見られるように製作の視点を重視する。  ①美術工芸材料学とは‐原料と材料 ②木材の材料科学Ⅰ ③木材の材料科学Ⅱ ④繊維の材料科学‐動物性繊維を中心に ⑤繊維の材料科学‐植物性繊維を中心に ⑥接着剤の科学 ⑦染料の科学Ⅰ ⑧染料の科学Ⅱ  ⑨高分子化学の基礎 ⑩高分子材料学の基礎 ⑪顔料の科学 ⑫ガラスの科学 ⑬セラミックス材料学の基礎Ⅰ ⑭セラミックス材料学の基礎Ⅱ ⑮文化財と材料科学‐まとめにかえて

後期:美術工芸品の製作に用いられる材料の内、主に以下の樹脂、塗料・絵具の接着成分等を取り上げ、その性質にかかわる化学的な基礎知識、劣化の機構、作品の保存に関連した諸問題、等をテーマに講義する。  合成樹脂(ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、アクリル、アルキド、ポリ酢酸ビニル、硝酸セルロース・酢酸セルロース、等)  天然化合物(タンパク質、多糖類、天然樹脂、油脂類、漆、等)

金属材料学 I, II

制作で金属を扱う学生や金属を使おうとしている学生を主な対象とする。金属の結晶構造、結晶中の欠陥、原始の拡散、変形と転位、金属の破壊現象、焼なましと再結晶、金属の変態と状態図、析出と時効、金属の反応、環境と金属、生体内の金属の役割について基礎的事柄を述べ、これらの現象と関連する美術工芸材料用の実用金属材料について制作の視点から解説する。